『番外篇 Vol.3』
2003/3/31 名古屋:TOKUZO
初めての試み
「始めてステージに立ったとき、中学の頃だから25年くらい前になるんだけど、
その頃、隣には熊谷君という友だちがいて、そのあともA君(名前は忘れました)がいたから、
こうしてひとりきりでライブをやるというのは、ホント初めて」
「中学の頃に文化祭の時に・・・中学の講堂をステージと呼ぶなら、
それが人前で歌った最初になるんだけど。
ホント、それこそ『友よ』という曲を、意味も判らずに歌っていたと思う。
反戦の歌っていうことは知っていたけど、意味までは判っていなかったからね」
「高校になってからはウツがいて、そのあとも大人数のバンドでやって、それからTMだからね。
そのあとソロになったと言っても、バックメンバーが一緒に回ってくれていたから。
本当の意味で、ひとりきりってことはなかった」
「番外篇の時は、こっち側に(客席からステージに向かって右手側)山本英美君がいてくれて、
いろいろ手伝ってくれていたんだけど。今回は、ひとりで46本回るつもりです」
失踪!?
「番外篇は今回で3回目になります。
3回目にしてようやく、ひとりで回ってみようと思って、実行に移してみました。
ひとりでやってみようと思ったのは、番外篇の2回目の頃から。
まだ3回しかやってないから、どうなるかまだ判らないね。
ここまでは東京、大阪、名古屋でよかったけど、これから米子とか回るんだよ?」
「さすがに46本一気に回るような歳じゃないから、前半・後半に分けて。
もう発表になっているから、知っている人は知っていると思うんだけど」
「もし失踪とかしたら"米子がよほどつらかったんだなあ"と思ってください(笑)」
『スポーツ紙に書かれたりして』という客席の声を受けて。
「木根尚登、米子で失踪!?って(笑)」
試練?
「今回、ひとりで回るってことで、大先輩の英美に話を聞いてきた。
英美は僕が番外篇をはじめる頃から、ひとりで回っていたからね」
「番外篇2回目の時に便乗ツアーとか言って、本当にひとりでライブ回っていたからね。
僕はこうしてサポートしてくれる人がいるけど、彼は本当にひとりきりだった。
だから、ひとりライブってどんな感じか訊いたら、
"ひとりきりで何が悲しいかって言ったら、弦が切れたとき"って」
「それを聞くまでは良かったんだよ。
英美に訊いたせいでもないだろうけど、大阪で弦が切れた(笑)
途中までは、いい流れだったんだよ。
それも終わりの方の曲。しかも、曲の終わりの方で。
やっぱり、ひとりだと力が入っちゃうのかな。
弦が切れちゃうとチューニングもぜんぶ狂っちゃうから、曲を止めたんだけど。
チューニングが終わって曲を始めるときに、"どこからやろうか"って訊いたのね。
そしたら"最初から"って。・・・"最初から"だよね。
そのとき、実は"切れたところからやろう"って思っていたんだけど。・・・勉強になります」
ひとりきりのリハーサル
「ひとりで回るってことは、リハーサルもひとりってことなんだよな。
ふだんなら、ほかにもメンバーがいるから、
"ここはもっとこうした方がいいんじゃない?"って、それぞれ切磋琢磨できる。
これが若いと、へんな自信だけはあるから、"おまえには言われたくない"って喧嘩になるんだけどね(笑)
ひとりきりだと、誰も答えてくれる人がいないから、"――かな?"」
語尾上げ発音で(笑)
「ウツやテッちゃんも、一度ひとりで回った方がいいね。
ふたりとも、ひとりっ子だから。(家では)天下だからね。
まあ、ウツの方がまだ兄姉がいる方に近いかなあ。
テッちゃんはホント、なんでも自分のものにしようとする気が強いからね」
EPIC 25
「EPICが25周年記念ということで、いろんな人が参加してライブをやりました。
東京と大阪だけで名古屋はなかったけど、来てくれた人いる?」
何人かが、手を挙げました。
「ライブでいろんな人に会った。
同じレコード会社に所属しているといっても、顔を会わせることはほとんどないから初対面の人も多かった。
僕はDJやパーソナリティなんかをやっていたから、会ったことのある人も何人かいたけど、
ウツなんかは知らない人ばっかりじゃなかったかな。
飲み屋なんかに行っても、大森君とウツが並んで飲んでいたりして。
"モッズとTMだよ〜"って外野が。僕もその外野のひとりだったんだけど」
「僕はホント、普通の人だったね。
東京の代々木体育館はそれぞれ控え室があったんだけど、大阪は全員で同じ控え室だったんだよ。
たぶんそういう用途では、あまり使われないんだろうね。
だから、"あー、バービーボーイズだよ"とか、"あ、・・・さんだ"とか。
ホントに一般の人みたいだった」
「そこで美里にも会ったんだけど。年下なのになぜかお姉さんみたいなんだよね。
"あー、木根ちゃん"って。控え室にはテレビが置いてあって、それでステージの様子をみんな見ていたんだけど。
僕が隅の方に座っていたら、美里がテレビ前の椅子に座って、"木根ちゃん、ここに来なよ"とか言うわけ。
断れないから横に座るとしばらくして、"そろそろ出番だから準備しなきゃ"とかって行っちゃうの。
あとからスタッフの人が"すみません"って(笑)」
頼むよ
「そういえば昔、『KISS YOU』だったと思うけど、ボックス踏みながら演奏したことあったな」
「僕は刻んでるだけだからいいけど、松本はうまいから、かなり大変なことをやっているわけ。
それでボックスを踏むわけだから、どうしてもボックスの方がおろそかになるでしょ。
まっちゃんはギターが上手だから、楽そうに見えるんだろうね。
だけどこれでも僕はギタリストだから、まっちゃんがどれだけ大変なのかは見ていて判るのね。
どうしても踊りが手抜きになるから、10回に1回ぐらいウツに言われてたよ。"まっちゃん、頼むよ"って」
松本さんは松本さんで、「なんで俺が踊らなきゃいけないんだ」って怒ってたらしいです(笑)
宿題
「(ボックスは)家で練習したんだよ」
「リハーサル中じゃなくて?」という観客からの質問を受けて。
「家で練習するんだよ。ギタリストがいろいろやるでしょ?
あれは、ぜんぶ練習しているの。鏡見ながら。
リハでは、それ(ボックスなど)から練習するんだから。
KISSって、ヒールの高い靴履いてるでしょ?
だからKISSのギタリストの人って、あれを履いたまま階段を下りる練習をするんだって。
それからギター弾きながら降りる練習とかしてるんだよ」
TMトリビュート
「TMトリビュートの合間に番外篇をやるから、みんなが東京移動なのに僕だけ岡山行ったり」
「今回はテッちゃんいないけど、大介がいるから。大介は、テッちゃんが言ったの。
"大ちゃんがいれば、僕がいなくても大丈夫。僕がいるよりもいいかも"って。
彼がそう言ったから、決まったの。
僕がいるよりっていうのは、大ちゃんの方が練習するってことじゃない?
テッちゃんは練習しないからね。
"練習しすぎると上手になりすぎちゃうから、面白くなくなる"って。
演奏がうまくなりすぎると、間違えることもなくて面白くないんだって。
下手な方が、ライブをやっても楽しいんだって」
「ライブの曲は、テッちゃんがいた方がいい曲とか、思い出のある曲・・・3人の方がいい曲ってあるでしょ?
それを除いてやるつもりです」
頼むよ。PART2
「以前、ウツのアンコールの曲を、自分のラジオの中で言っちゃった時は、ウツにすごい怒られた。
俺がしゃべっちゃったのを、どっかで聞いたんだろうね。
"ラジオで言ったの?"、"いけなかった?"って言ったら、"頼むよー、木根"って。
そりゃそうだよね。みんなどんな曲を演るか楽しみにして来ているんだもんね」
『ごきげんよう』
「そうそう。『ごきげんよう』という番組に出ました。
3回目は戦争開戦と重なっちゃったから、つぶれたと思っていたら、
スタッフから電話があって、夜中に再放送・・・再放送じゃないか。録画放送されることになったって。
さすがに1時過ぎまで起きていられないから録画予約して寝たんだけど、そしたら眠れなくなっちゃって。
だったら起きて見ようと思って見ていたら、びっくりした。
『ごきげんよう』が終わったら、昼ドラが始まったの。
だから、1時から2時までの枠の番組を、そのまま夜中にやったんだよ」
「出て知ったんだけど、あれってどんな目が出ても、
1日目の人が持ってきたネタが話せるようになっているの」
以下、『ごきげんよう』の番組システムのネタバレです。読みたい方は反転してください。
どうやら番組を撮る前までに、いくつか話すネタを考えておいて、
それを持っていくと、どの目が出ても、その話ができるようになっているみたいです。
そのシステムでいくから、2日目、3日目は、新しく来たゲストの人の目になっているから、
それに合わせた話をしなければならないんだそう。
そのネタも、いくつか考えていくそうです。
ただ「こじつけでも構いません」とスタッフから説明があったそうです。
「それぞれあたり目っていうのがあるんだけど、僕の場合、ギターを持って歌うっていうのがあたり目だったから、
"ギターを持って来てください"って言われていたのね。
出なかったからよかったんだけど」
「ああいうのはすごく緊張するんだよ。
だからただでさえ早口なのに、さらに早口になっちゃって、持っていったネタを2分以内で話すことができました」
(注:ひとりの持ち時間は、2分なんだそうです)